■Inside The Record Business について
1967年-73年にCBSレコードの社長をつとめたクライヴ・デイヴィスの自伝 Clive: Inside The Record Business (by Clive Davis with James Willwerth. William Morrow: New York, 1974c)から、S&Gに関係する11ページ分(pp.249-259)を訳出。日本語訳は1983年に『アメリカ、レコード界の内幕:元CBS社長クライブ・デイビスの告発』(我妻広己・訳、スイングジャーナル社)として発刊されたが、長く絶版になっている。
■著者について
クライヴ・デイヴィスは1934年ニューヨーク・シティ、ブルックリンのユダヤ系の家庭に生まれた。ニューヨーク大学で学士号取得後、ハーバード大学ロースクールを1956年卒業。1960年に弁護士としてCBSレコード傘下のコロンビア・レコードに入社。ボブ・ディランの契約を更新させたことで頭角をあらわし、数々の仕事が認められてCBSの副社長に抜擢された。1967年に社長に就任、同年のモンタレー・ポップ・フェスティバルでロックの力に気づき、多くのロック・ミュージシャンと契約した。ロック台頭の波に乗りレーベルを大きく成長させた彼の力量は、誰もが認めるところだったが、そのワンマンぶりに批判の声も大きく、1973年には社費の使い込み疑惑によりCBSを解雇された。1974年に自伝Clive: Inside The Record Businessを著し、ベストセラーとなる(ちなみに、All Music Guideではこの自伝を評して「他の関係者全員のことを忘れ、デイヴィスは全ての手柄を自分のものにしてしまった」としている)。同年、コロンビア・ピクチャーズのレコード部門に入り、アリスタ・レコードと改名して独立。バリー・マニロウ、グレイトフル・デッド、ホイットニー・ヒューストンら大物を抱えるレーベルに成長させた。現在は、アリスタを離れBMGエンターテイメントとのタイアップによるJ レコードの会長兼、最高経営責任者。2000年にグラミー功労賞受賞、2001年にはロック殿堂入りを果たした。母校、ニューヨーク大学に500万ドルを寄付し、レコード業界の人材を養成する学科、クライヴ・デイヴィス・レコード音楽学科(The Clive Davis Department of Recorded Music)(2003年秋開始)の設立に寄与した。