1966年。「簡単で散漫な演説」にも登場するレニー・ブルースがこの夏、亡くなっている。また、1954年に始まったベトナム戦争がまだ続いていた年でもある。
「水曜の朝、午前3時」の「サウンド・オブ・サイレンス」のオリジナル・バージョンに彼らの了解なしでアレンジが加えられ、デビュー・シングルとして大ヒットを飛ばしたのが1965年末から1966年頭にかけて。ダークホースを見つけたCBSは急ぎ彼らのセカンド・アルバム「サウンド・オブ・サイレンス」とサード・アルバム「パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム」を1966年、立て続けにリリースすることになる。このライブはそんな1966年、ニューヨークで行われた、とされる。【注】
セットリスト(演目)は、2002年にリリースされた、1967年1月22日のニューヨーク、リンカーンセンターでのライブの模様を収めた"
Live From New York City 1967 (以下NYC1967)" とほぼ同じである。
「バックは僕のギター1本で充分。」と当時、ポールが言っている。ステージにおける二人のハーモニーとポールのギター、この三者が絶妙かつ美しいオーケストレーションを生んでいる。
「Homeward Bound(早く家に帰りたい)」 、「The 59th Street Bridge Song (59番街橋の歌)」、「The
Sound of Silence (サウンド・オブ・サイレンス)」 といった代表的ナンバーは、この時期のステージに特有の緊張感にあふれている。
アルバム未収録曲 「You don't Know Where Your Interest Lies (君の可愛い嘘)」 のライブテイクは、2002年に「NYC1967」が発売されるまでは、この音源でしか聴けなかった貴重なものである。
オープンDチューニングとベースランニングが印象的な 「Richard Cory (リチャード・コリー)」、 アドリブを駆使した、レコードテイクとまったく異なる演奏が驚きの 「Anji
(アンジー)」、こうした曲ではポールのギター・テクニックに舌を巻く。
そして、もうひとつのライブの面白さは二人のステージ・トーク。ウイットに富んだ小話は、「NYC1967」同様、曲の合間も聴衆の心をつかんで離さない。
この2枚のCDの音源は同じであるが、「Live In USA 1966 」(以下「USA1966」)の方は録音ピッチの乱れ、いわゆるワウフラッターが気になる。音質面では幾分、「Sounds Of Silence Live」の方がお奨め。
これらのライブ盤CDの入手方法だが、「USA1966」の方は、書店でいわゆる1000円CDとして購入したもの。こちらは1998年頃までは、ワゴンセールなどでもしばしば見かけることができた。「Sounds Of Silence Live」の方はブートレッグ専門店で購入した。現在は両方とも廃盤となっているもよう。 (さとう)
|