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▼こうもりさんの投稿:
>うーん、GALがゴスペルなのはよいとして、Still Crazyで黒っぽいの、ほかになにかあります?ひろみつさんのおっしゃる「黒っぽい」ってどの曲をさしてますか?
>Still CrazyとOne Trick Ponyはジャズ系ミュージシャンをいっぱい使ってるのでジャズっぽいというならわかるんですが。
いささか言い方が抽象的だったかもしれませんね。
上手くいえませんが、どの曲が黒人っぽいとか言うのではなくて
ジャズ、ソウル、ゴスペルなどの黒人音楽が根底になってるので、
サウンドがどう、アレンジがどうというよりも、根底に根を張ってる
物が「黒っぽい」と言えばいいのかな・・・・。
強いて言えば、タイトル曲、I Do It For Your Loveなどはジャズっぽいし
50waysはサビがソウルっぽい、My Little TownもS&Gの曲としては
ホーンアレンジなんか、けっこうファンキーだし、Some Folks もソウルっぽいし
Have A Good TimeもファンキーだしSilent Eyesはゴスペルを感じさせます。
あまりに洗練されてるので、すぐには、そうとは感じませんが、端々に
黒人音楽特有の「濃さ」のような物を感じるんですよ。
>
>Gracelandはおおむね3コードの50'Sで、ある意味タイトル曲のテーマどおり、エルヴィス・プレスリーへの回帰みたいですね。そこがグラミー賞の審査委員に評価されたポイントなんでしょうか。
そうだと思います。
プレスリーへの回帰=「誰をも受け入れる理想の世界」という、かつてアメリカにあった希望、自由、平和の精神。そのシンボルとしてプレスリーの、あの屋敷を
シンボリックに表現したことが評価されたんだと思います。
>そのあたりが、Graceland論争の根底にあるような気もするんです。このサウンドはエルヴィス=白人のロックじゃないか、黒人を使って白人のロックをやらせるのか、と、黒人音楽愛好家は反発したことでしょう。我々はポールファンなので、ポールが作った音楽には関心あるんですけど、黒人音楽愛好家たちが「変な風にまねされた」と怒っていたとしても、あんまり関心ないですけど(笑)
そうそう、そうですね、いやホント(笑)
それに白人のロックンロールも、源流を辿れば、結局はアフリカのリズムに行き着くわけですから、そういう意味では先祖がえりみたいなアルバムだと思うんですが。「あなたたちから借りていた物を謹んでここにお返しします」という
すごく謙虚なアルバムだと思います。
ただポールのレコーディングの進め方、素材とある音楽やミュージシャンへの
距離感の取りかたが理解できない人には黒人音楽を盗んだとかツマミ食いしたとか
瑣末な解釈しかできないんでしょうね。
>しかしこれは、ポールがアフリカに行ってセッションやってみたら、音楽的に通じたのが3コードだけだったから、結果としてそうなったんでしょうね。
そうですね。それにリズムセクションを先に録ってますから、そこへ後からメロディをあてはめるとなると、どうしてもコードはシンプルにならざるを得ないですよね。でも、ポールは、そこに未知のアフリカ音楽と白人の50,sの不思議な共通点を感じもした、そこでそれを強調するために、双方に共通する楽器アコーディオンを
フィーチャーしたんじゃないでしょうか。黒人文化、白人文化を結ぶ強いパイプ。
僕は、このアルバムのもう一つの主役はアコーディオンだと思ってるんですが、どうでしょうか?
>
>ポールのすごいとこは、録音してきたアフリカの熱気がこもったセッションを曲に仕上げるときに、サウンドに流されて馬鹿っぽい歌詞を載せたり、ギャーギャーシャウトしたり、そういうことをしないんですね。ノートにびっしり推敲した結果の、都会的で聞く価値のある歌詞を載せて、なんか緻密な感じで仕上げる。
>そこがすごい、と思うんです。
対象に絶対に溺れない、でも決して冷ややかではない。
参加するミュージシャン、歌、メロディ、その他すべてに誠実だと思います。
でも、アプローチする音楽に溺れない冷静さはいつも忘れない。
不思議でノリのいい未知のリズム、シンプルなコードに豊かなメロディ、知的で都会的な歌詞の完璧な三位一体を実現したのが、このアルバムだと思います。
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