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古いレコードの話です。
最近私の頭の中で、Leaves That Are Greenが、ずっと鳴っていました。
軽やかなチェンバロとともに歌われる、SOSアルバム・バージョンのほうです。
この歌は「諸行無常」をテーマにしています。
ポールが滞在していた頃のロンドンでは、日本の俳句が流行していたと聞きました。
この歌は1番から4番までが、見事に起承転結を成しています。
1番は、自分の年齢で時の流れを表します。「起」です。
2番は、人間の企てが無常であることを歌います。「承」です。
3番は、自分の行動が引き起こす波紋について歌います。
これはもしかしたら、「水曜の朝」の失敗を指しているのかもしれません。
And they never made a soundが印象深く響きます。「転」です。
そして4番は「結」。
Helloは、出会い、生。
Good-byeは、別れ、死。
That's all there is.
平家物語、方丈記、奥の細道などと共通する無常観があります。
もちろん当時のポールが日本文化を深く理解していたとは思えません。
でもこの歌は悪くない。
1965年のポールは、本当に良い歌を書いていました。
問題なのは、レコーディングです。
1965年12月13日のレコーディングでは、ベースが冴えないですね。
もしかしたら、ウッド・ベースではありませんか。
このベーシストは、もっぱら小節のアタマ弾きで、ようやく他のメンバーについていっている感じです。
躍動感がありません。
余談ですが、翌14日のセッションでHomeward Bound、I Am A rock、Richard Coryが録音されていますが、こちらのベースはカッコいいです。
バック・ビートが利いて、いきいきしています。
おそらく交代させられたのでしょう。
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