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いやはや、ロイ・ハリー絶好調で、このくだり後半は技術的概念のオンパレードです。
彼の話はきれいな文章になっていないのと、すぐ脇にそれるので、ブツ切れの技術用語から何を言っているか拾い出すような作業になってきています・・・。
このあとSave The Life Of My Childの、エコーチェンバー(反響室)のなかでテープ装置2台をちょっとだけスピードをずらして再生してフランジャー効果をかけた話(そんな話を英語でいわれても・・・という気持ちです)に入っていきますが、いろんな方からじわじわプレッシャーもかかってきていますので(笑)いったんアップしますね。
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マイケル:
『いとしのセシリア』の重たいドスン、ドスンという音はどうやったんですか?
ロイ:
元になったトラックは、ポールの家のリビングでSONYの家庭用レコーダを使って録音したものだ。スタジオに持ち込んでマルチ・トラックにコピーしたんだ。そしてあのドスンという音は大きなバス・ドラムそのものだ。(バス・ドラムはドラムセットの中央の一番大きなドラム。「THE BEATLES」とか書いてある、アレ。:訳注)
マイケル:
『明日に架ける橋』の、あの壮麗な響きのピアノですが、どうやって録音したかおぼえていますか?実際どのようにして曲のサウンドがああいう形に固まったんでしょう?どれくらいがあなたの貢献によるもので、どれくらいがポールによるものですか?
ロイ:
両方の貢献さ。
マイケル:
それは二人が長年一緒に仕事をしてきた結果ですか?二人は共生的な関係だった?
ロイ:
あのベーシック・トラックはロサンゼルスにあったCBSの大きなスタジオで録音した、ラリー・ネクテルのピアノだけだ。(感傷的な質問は無視なんだ・・:訳注)そのピアノは広い部屋の真ん中において、マイクを鍵盤の真上(ハンマーの真上、の言い間違い?:訳注)にセットするのではなく、クラシック録音風の配置にした。
マイケル:
大きく響くスネアドラムの音は?
ロイ:
あれはまさに実験だよ。(具体的な質問には答えるのね・・:訳注)
スネアに何段階かコンプレッサーをかけてある。ドラムセットはスタジオの外のホールに置いて。こうすると、あの爆発みたいな素敵な大音響になるんだ。
(歌の最後、4'30付近に、だぁーん、と、ひときわ大きい音が入っていることに気付きました。これのことですね。みなさんも聴いてみて下さい。単純なスネアドラムの音で済まさなかったのが、彼らのすごさですね。:訳者白)
マイケル:
こんにちの電子的な音響操作では、あんな自然な響きは出ませんね。
ロイ:
私にとって、サウンドというものは素晴らしい会場で演奏される交響楽のようなものだ。楽器の音が空気を伝わり、広がって、ステージに深く響きわたる。私はそれを愛してやまない。対してそういう電子ポップスの世界では、サウンドはより楽しく、感覚的で、実験的なものなんだ。押し付けがましいようだが、はっきりいってしまえば、そういったサウンドは、素晴らしい会場のベルリン交響楽団の演奏とは比べ物にならない。
我々はたくさんの実験的な音づくりをやった。今でいうAMSやQUANTECのリバーブ・ユニットとか、デジタル・ディレイとか、最新のハーモナイザーH3000、こいつは大抵のことができるすごいマシンだが、そういう装置を使っていまどきの連中がやるようなことをね。
(AMS、QUANTECはエフェクト機器のメーカー。両社のリバーブマシンやH3000は、録音スタジオやレンタルPAの機材リストには必ず載っている。:訳注)
こういったサンプリングマシン、『グレイスランド』で使ったポールのシンクラビアのような装置は、驚くべきものだ。スネアドラムを持ってきてサンプリングしたら、どこでも好きな場所に入れることができる。
(シンクラビアは初期のサンプリング・シンセサイザー。900万円以上したらしいです。スティングもこれを持っていたとか。いまではCASIOのサンプリング・キーボードなんか5万円くらいで買えますが・・・。:訳注)
だけどサイモン&ガーファンクルのレコードは、連中が今やっているのと変わらない音づくりになっているんだ。テープを使って短いディレイをかけてフランジャー効果をつけたりね。
(いわゆるテープ・フランジャーというエフェクトを、このヒト達はテープマシンを使って手作業でやっていたわけですね・・・。:訳注)
我々がやっていたことは最新のサウンドにひけをとらないし、アナログだからその点では今より音が良かったんだ。
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