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第一部 完・・・。 こうもり 06/1/15(日) 19:18
┣ これも読みたくなりますね。 こうもり 06/1/15(日) 20:13
┣ おろし金と泡立て器の音 こうもり 06/1/15(日) 20:38
┗ コロンビア大のチャペル こうもり 06/1/17(火) 12:50 [添付]

第一部 完・・・。
 こうもり E-MAILWEB  - 06/1/15(日) 19:18 -

引用なし
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   第一部の残りです。ロイの話の熱っぽさに、訳していて疲れました(笑)
スクレイパーの実験とかやっていたら、無駄に遅くなってしまいました(苦笑)

ボクサーの録音プロセスが、かなり詳細に出てきますが、できる限り正確に訳したつもりです。このくだりは、誰よりも『ボクサー』のレコードを愛するイッシーさんに、お届けしたいです。

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ロイ:
たとえば『我が子の命を救いたまえ』の壮大なコーラスだが、スピードをすこし変えた2台のテープマシンを使って反響室でフランジャー効果をつけたものだ。こうやって奥行きのあるサウンドをつくったんだ。いつも基本的にやっていたのは、ほんのすこしディレイをかけることだった。(2台のテープマシンを数ミリ〜数十ミリ秒ずらして再生したと思われる:訳注)

『動物園にて』では、スクレイパーの音に個性を出すために、反響室でフランジャー効果をつけたんだ。モノラルの反響室からの出力を2台のテープに録音して、1台のスピードを上げたり下げたりしてゆらぎをつけた。いまでいうマニピュレーションだけど、当時我々は電子的な加工を使わずに実現していたんだ。

(スクレイパーは金網状の筒をブラシでこする楽器。『動物園にて』の13秒付近で登場する「しゅいーん」という音がそれで、たしかにリバーブとフランジャーがかかってます。実際におろし金と泡立て器でやってみました(爆)サウンド編集ソフトをお持ちの方はやってみましょう!先に強めのリバーブをかけてからフランジャーをかけるだけで、かなりそっくりになります。:訳者白)

私がかつて手がけた中で技術的に最高のレコードの話だが、それについては今でも、誰がなんと言おうと、音響的にも、またあらゆる面についても満足している。

それが『ボクサー』だ。とほうもないレコードだよ。このレコードについて話すのが何より楽しいんだ。ポールと私と、二人で作った。正気と思えないような沢山の音が詰め込まれている。

あなたはAMSのリバーブの話をしていたね?あのサウンドはそういう効果がいたるところに使われている。ただし反響室を開けたり閉めたり調整しながら、感性と手作業でやったものだ。機械にはできないことだよ。ベースハーモニカまで入っている。あれが8トラックを使ったレコーディングだとはね。

マイケル:
8トラック1台ですか?2台を同期させたのではなく?

ロイ:
それはいろんな音声を全部レコードに収める仕上げの段階でやったことだ。私には16トラック必要だった。私は最初の8トラックをヘッドホン端子から2台目の8トラックに移すことを思いついた。私の発案だよ。(自慢らしい・・・:訳者白)そうやって最初の8トラックをすぐに別の録音に使った。

そのとき私はエンディングの壮大なコーラスのアイデアを思いついた。アーティが「いいね、それをコロンビア大学のチャペルで歌えたらいいな。」と。アーティはコロンビア大に通っていたからね。(在学中にそのチャペルで歌ったことがあって、響きがいいので気に入っていたんでしょうね。チャペルで響きを確かめながら鼻歌を歌うアーティ・・・目に浮かぶようです。:訳者白)

それから我々はドルビーとリモコンつきの8トラックをどうやって手に入れるか相談していた。それまで使ったことのないものだった。CBSは「それは本当に必要なものなのか?」と言っていた。

マイケル:
そしてスタジオから外に出かけて、マイクをセットしたんですね?

ロイ:
その通り!(スタジオで)ボーカルを録って、チューバを録って、先に録音していたスチール・ギターに風変わりな味付けをしようと、メロディーにピッコロ・トランペットを重ねて録音した。さてこれから教会で録音だが、ステレオではできなかった。トラックが足りなかったから、モノラルでやったんだ。(残りトラックがあとひとつだったということか:訳注)そうやって出かけていって、ポールとアーティで「ライ・ラ・ライ・・・」と歌うのを重ね録りしたんだ。

マイケル:
それにあの「だぁーん」という爆音のドラムがありましたね?

ロイ:
そう、あれはコロンビアのエレベータ・シャフトでやった。
で、教会へ行って、ドルビーをかけたコーラスを録ったら、もうトラックがなくなってしまった・・。(やはりひとつしか残っていなかった!:訳注)それで、それからストリングスの録音に取り掛かったが、2トラックで録音して、最終ミックスのときにワイルド・トラック(非同期。2台のテープ装置を手動でシンクロさせる。:訳注)で収めることにした。

マイケル:
他の機械と音を合わせるために、ピッチ・コントロールをたくさん操作しなければならなかったでしょう?

ロイ:
もちろんやったさ。それだけじゃない。ドブロ・リック・ギターもいれた。あれもワイルド・トラックだった。(ミックスとカットに)ずいぶん時間がかかったよ。しかし技術的には見ものさ!基本のトラックは、ナッシュビルで、フレッド・カーターとポールのトラヴィス・ピッキングだけの、素晴らしい演奏から始まった。そしてあの偉大なドラマー、バディ・ハーモンがシェーカーを加えた。それで最初の8トラックはできあがりで、新しい8トラックに取り掛かった。

(ハーモンはナッシュビルのセッション・ミュージシャンの中でも「Aチーム」と呼ばれた高名なドラマー。もちろんエルヴィスとも仕事している。彼が演奏したのはパーカッション?CDではシェーカーは聴こえない。:訳注)

ミキシングを終えて、いよいよ出来上がった2台の8トラックのAmpexと、2台のワイルド・トラックの仕上げに取り掛かった。「神様、どうか全てをシンクロさせてください!」と祈ったよ。装置が加熱すると、テープが滑ってしまう恐れがあったんだ。しかし無事にシンクロしてくれた・・・。

同じやり方をザ・バーズのレコードでもやった。同じ装置をハリウッドの、プロデューサのゲイリー・アッシャーのところに持っていたら、彼は目を回していたよ。

しかしこれには噴飯ものの裏話がある。コロンビア以外のレーベルでは、みんな16トラックを使っていたんだ!16トラックがないばっかりに、こんなにハッスルしなきゃいけなかった。でも分かってはいたんだ。コロンビアにはスタジオがたくさんあったから、16トラックを配置するには金がかかりすぎたということだ。

ミックスダウンをやったときは、アーティは映画をやっていて不在だった。それがサイモン&ガーファンクルの終焉のきっかけだった。ポールと私はスタジオでミックスダウンに取り掛かった。前の晩には娘が生まれて、一晩中眠っていなかったのに、私はすごく元気だった。作業には12時間もかかって、すべてを調整してから壮大なエンディングとストリングスのワイルド・トラックをミックスしたんだ。もし今これをやらなければいけないとしても、誰にもできないよ。もちろん自分にも、2度とできないさ!

<第一部 完>
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これも読みたくなりますね。
 こうもり E-MAILWEB  - 06/1/15(日) 20:13 -

引用なし
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   ちぇしゃさんの偉大な訳業、BBCのラジオ番組「ポール・サイモン・ソングブック」から、Part3のThe Boxer関連部分をお届けします。

実はこれ、ちぇしゃさんに会議室への転載許可を頂いているので、そのうちまとめて掲載します。ロイのインタビューも、完結したらまとめて。

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『ブックエンド』の完成後、サイモン&ガーファンクルは、さらなる野心を、『ボクサー』のレコーディングに燃やすことになります。まさに、「壮大な」という言葉が相応しいこの曲は、何週間もかけて、さまざまな場所で行われたレコーディングを集大成したものでした。


<ポール>

ギターは、フレッド・カーターと一緒に録音した。彼は、ナッシュビルから来たんだ。


<フレッド>

最初は、2本のギターだけでテープを作り始めた。ロイが、「何か、魔法みたいなことが起き始めているぞ・・」と言ったっけ。特に覚えているのは、僕のギターを録音するために、6本のマイクが用意されたこと。前と、後ろと、頭上と。ロイは、僕の呼吸の音まで録っていた。

僕がやったことと言えば、一弦のE を D に落としたチューニングにしたことだけ。これが、この曲のスタンダードな調弦になった。だから、こんな感じで・・・<『ボクサー』のイントロを弾き、歌い始める>・・・ "I am just a poor boy / Though my story's seldom told" ・・・。


<ポール>

そこに僕らは、ドラムをオーバーダビングした。ドラムは、エレベーターシャフト【訳注:エレベーターの通る、垂直方向の空間】の中で演奏された。あの大きなエコーは、そうやって出来たんだよ。コロンビア・レコードのスタジオがある建物の中に、閉じられていないエレベーターシャフトがあったので、そこにドラムを引っぱり出してきた。ロイは、長いケーブルやらマイクやらを、そのエレベーターシャフトの中に設置したんだ。


<ハル ブレイン>

ロイは、エレベーターのドアの前に、ちょうどいい場所を見つけて、そこで僕らは・・・たぶん、CBSビルの5階か6階だったと思うんだけど・・・僕ら以外、建物には誰もいなかった。土曜日か日曜日の午後だった。それで、エレベーターのドアの前に、ばかでかいドラムセットを置いて。もちろん僕はヘッドフォンをつけて、『ボクサー』のトラックを聴いているわけだ。"Lie-la-lie .... "、で、ドラムを叩く。"Lie-la-lie ... "、「バーンッ」。

僕は完全に一人の世界に入っていた。ところが、ある箇所まできたとき、ドラムを叩こうとした瞬間に、エレベーターのドアが開いて、そこに、守衛のおじいさんが立っていたんだ。小さな灰色の制服を着て、信じられないという表情で、まるで、ショットガンで撃たれたみたいな顔をして。僕がドラムを思い切り打つと、おじいさんはそのまま化石みたいに固まってしまった。・・・ドアが閉まって、彼は行ってしまったよ。もう、二度と現れなかった。きっと、もっと早くに引退しておけばよかった、と悔やんでいたことだろうね。


<ポール>

ホーンは、コロンビア大学の小さなチャペルで録音された。とてもいいエコーが得られたから・・・ホーンとストリングスが、ここで録音されたんだ。


<ロイ>

僕の個人的な意見では、これは、今まで作られた最高のレコードだよ。サイモン&ガーファンクルのレコードとしては、エンジニアリングがもっとも上手くいったものだ。僕らの創造性のすべてをつぎ込んだ作品だ。録音は、様々な場所で行われた。ヴォーカルは、スタジオの外で・・・コロンビア大学のチャペルで録音された。コロンビアは、また怒りまくっていたね。「何でそんなところに行かなきゃならないんだ?スタジオではできないのか?」って。とにかく僕らは、チャペルまで行って、ヴォーカルを録ったよ。

それから、ピッコロ・トランペットも使うことにした。ピッコロ・トランペットだよ、分かるかい?『ペニー・レーン』の影響なんかじゃないさ。・・・スチールギターがあのメロディーを弾くのに・・・<『ボクサー』の間奏のメロディーを口ずさむ>・・・ピッコロ・トランペットをかぶせたんだ。スチールギターが弾く低音の上に重ねて、違うサウンドを作り出した。あれは、そうやって出来た音なんだよ。

スチールギターはナッシュビルで録音して、ピッコロ・トランペットはスタジオの外、ヴォーカルを録ったのと同じチャペルで録音した。クラシックのトランペット奏者に吹いてもらった。それから、コーラスのところの "do-do-n" という大きなコントラバス音のために、チューバも使ったんだ。

いつも言っていることなんだけど、この曲をレコーディングするために何が行われたかを語っても、誰も信じてくれないだろうと思う。今日に至るまで・・・誰かが、この曲をもう一度作り出すことは、不可能だろうね。あれだけの量のストリングスを、どうやって収めたのか・・・・きちんと、収まっているだろう?ヴォーカルを、どうやって・・・・いいや。無理だよ・・・"Du-du-du-du-du-n" というオーバーダブだって・・・・盛り込みすぎの曲だって?そう、その通りだ。でも、盛り込みすぎただけではなく、調和がとれて、かつ広がりがある。僕がそうしたんだ。本当に、あのレコードに関して、一冊の本が書けると思う。断言する。あのレコードがどうやって作られたかということだけで、一冊の本が出来るよ。


     <『ボクサー』>


<アート>

とてもポールらしい曲だ。自分はたくさんの傷を負ってきた、と言っている。あの頃ポールは、必要以上に自分を世間の目から隠そうとしていた。「多くは語らない、嘘もつかないけれど」という態度で。世界中が僕らのレコードを買ってくれていた・・・でもそれは表面的なことに過ぎなかった。だから彼が言いたかったのは多分、人々が何をしかけてこようと、自分は前進し続ける、ということだったんじゃないかな。


<ポール>

今でも、コンサートでこの曲を歌うと思うんだ、これはあの頃の僕だな、って。陰気な気持ちでいた頃。自分で意識していたかどうかは別として、僕はこれは・・・自分について歌った曲だと思う。そういうつもりで書いたかどうかは覚えていないし、曲を書いた時点では、まるで気がついていなかったのかもしれない。僕は批評されるのは嫌いだったし、人々の賞賛もそれほど信じてはいなかった。とても、傷つきやすかったんだ。


<アート>

"In the clearing stands a boxer" というくだりは、本当にポールを思わせるね。すべてが終わった後も、結局前進し続けるしかない自分がいる。戦い続ける自分が。1991年まで、ずっと。そう、これは、バンドを引き連れてロードに出ていくポールの姿だ。人々が、彼のコンサートの是非を論じる。けれど、彼は、演奏し続ける。それが、ボクサーなんだ。

これは、本当によく出来たレコードだよ。たくさんの要素が盛り込まれているし、ポールの得意とするものがよく出ている。曲を流れる彼のトラヴィス・ピッキング・ギター・・・小川が流れるような、理想的な演奏だ。僕たちが十代の頃に学んだことを、最大限に生かしているんだよ。僕らは声を非常に正確に融合させることを知っていた。だから、ああいう細かい動きを含む曲は・・・ "When I left my home and family / I was no more than a boy" という箇所・・・あの、"more" には、二つの音がのっているだろう?ポールのピッキングは、この単語を正確に二つの音に分解することができた。ギターのリズムに合わせて、二つの音を歌うことができたんだ。『ボクサー』という曲は、歌い手に、そういう技を使わせてくれる曲だった。僕らはギターに合わせて音程を細かく揺らすことができたし、僕らの声はそういう動きに向いていた。何年も前に、僕らはそういうことを学んでいたからね。

『ボクサー』のレコーディングは、どちらかというと、ロイとポールが心をかたむけておこなった仕事だった。僕は『キャッチ22』の撮影のために、メキシコにいたから・・・ポールから、この曲への愛情に満ち満ちた手紙を受け取ったしね。こんな内容だった。「ロイと僕とは、『ボクサー』のレコーディングをしています。出来映えは素晴らしいものです。誰かがスタジオに入ってくる度に、トラックを聴かせてやります。仏さまの顔を見せてやったみたいに、拝んで欲しいからです。もしもこれが、世界最高のレコードだと分からない輩がいた場合には、スタジオから追い出すことにしています。即、追い出します。『悪くないけれど、でも・・・』なんて言い出した場合、終いまで聞かずに、追い出してやります。そんな人間は、・・・<くすくす笑う>・・・信仰心がないに決まっているからです。」


『ボクサー』はトップテンの座を獲得し、次のサイモン&ガーファンクルのアルバム、『明日に架ける橋』の前触れとなりました。『明日に架ける橋』は、それまでのロック音楽の歴史におけるすべてのアルバムの売り上げ記録を、短期間のうちに塗り替えてしまうことになります。


1970年2月に出されたこのアルバムは、10週に渡ってアメリカンチャートのトップを独走し、6つのグラミー賞獲得という前代未聞の記録を打ち立てました。アルバムとタイトル曲はそれぞれ「シングル・オブ・ザ・イヤー」「ソング・オブ・ザ・イヤー」「ベスト・コンテンポラリー・ソング」「アルバム・オブ・ザ・イヤー」「ベスト・アレンジド・レコード」に選ばれ、ロイ・ハリーは「ベスト・エンジニア」を受賞しました。
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おろし金と泡立て器の音
 こうもり E-MAILWEB  - 06/1/15(日) 20:38 -

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   あげてみました。にてるでしょ?
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コロンビア大のチャペル
 こうもり E-MAIL  - 06/1/17(火) 12:50 -

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【添付ファイル】 〜添付ファイル〜
[削除されました]
   同大学のHPをみたら、セント・ポール・チャペルという古い小ぶりなチャペルがあって、
結婚式や音楽の演奏会をやっているらしいです。
<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.0; MathPlayer 2.0; .NET CLR 1....@fnttkyo020028.tkyo.fnt.adsl.ppp.infoweb.ne.jp>

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